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どうなる?バチカンと中国政府の関係

 先日このブログでも取り上げた「中国カトリック愛国会(政府公認)がバチカンを無視して新司教を任命した」件(参考)に対して佐藤優氏が記事を書いています。非常に興味深いので紹介しておきます。

 ・胡錦濤政権へのシグナル(FujiSankei Business i.)

 ■強大なバチカンを見誤る中国

 中国がバチカン(ローマ法王庁)と深刻な問題を引き起こした。「ローマ法王ベネディクト十六世は四日、中国政府公認の『天主教(カトリック教)愛国会』が法王庁の反対にもかかわらず二人の司教を独自に任命したことについて『不快感』を表明し、二人の新司教と愛国会の関係者を破門した。法王庁は一九五一年から中国と断交状態にある。法王庁は司教任免権を独占しており、国交樹立の最大の障害は中国での独自の任命だった。今回の破門で、関係改善は遠のいたといえる。」(五日読売新聞朝刊)

 国際社会は主権国家によって構成されているという建前になっているが、この原則になじまない国家が二つある。イスラエルとバチカンだ。イスラエルは主権国家であるとともに全世界に離散したユダヤ人を擁護することを建前にしている。バチカン自体は面積わずか〇・四四平方キロメートル、人口千三百人程度の小国であるが、全世界で約十億人のカトリック教徒を擁護する義務を負っている。

 極限状況になった場合、ユダヤ人は自国とイスラエル、カトリック教徒は自国とバチカンの間で二重忠誠の問題を抱える。このような人々はインテリジェンス活動の標的になりやすい。例えばポラード事件が有名だ。八五年十一月、米国連邦捜査局(FBI)は米海軍情報分析官のユダヤ系米国人ジョナサン・ポラードをイスラエルのスパイ容疑で逮捕した。ポラードは米国の偵察衛星が撮影した秘密写真などの機密文書を「モサド(諜報特務局)」とは別の情報機関「レケム(科学情報局)」に渡していた。

 ポラードは終身刑で服役中だが、イスラエル政府は九五年にポラードにイスラエル国籍を付与し、釈放を要求している。この事件は現在も米・イスラエル間ののどに刺さったトゲになっている。

 ヨーロッパでは、中世から封建諸侯とローマ法王の間の権力闘争や宗教改革後の宗教戦争の経験を経て、カトリック教徒は世俗の事項に関しては自己が所属する国家に忠誠を誓い、信仰に関してはローマ法王に忠誠を誓うという「ゲームのルール」が確立している。

 このルールを明文化したのが「コンコルダート(教政条約)」で、この条約はバチカンと世俗国家の外交関係を規定するだけでなく、宗教と国家の基本的関係も規定することになる。五一年に中華人民共和国政府が、中国の教会を外国のミッション(宣教団)から切り離し、政府の管理下に置こうとした。国民党の蒋介石総統がプロテスタント(長老派)であったことが欧米の共感を得たことの教訓から、中国の共産政権はキリスト教を通じて欧米が中国の内政に影響を与えることに極めて神経質になっていた。

 中国のキリスト教会は「三自愛国運動」という政府管理下の組織だけが活動を認められた。「三自」とは、自治(中国人で教会を管理する)、自養(カネは自分で稼ぎ、外国宣教団からもらわない)、自伝(中国人のみが布教活動を行う)ということで、要は外国人を宗教活動から完全に排除することだ。改革開放政策の現在もこの方針は引き継がれている。現在、「三自愛国運動」はプロテスタントの組織になり、カトリック教会としては政府公認の「天主教愛国会」があるが、バチカンはこの団体を教会と認めていない。中国には千二百万人のカトリック教徒がいると推計されるが、「天主教愛国会」に所属するのは半数にも満たず、残りはバチカンに忠誠を誓っている。

 バチカンにとって司教の任命権は譲ることのできない原則であり、現在、中国政府以外の国でこの問題をめぐってバチカンともめている国は一つもない。中国はバチカンの底力を見誤っている。カトリック教会が七八年にポーランド人司教を法王(ヨハネ・パウロ二世)に選出したのも、ソ連・東欧社会主義体制を崩す大戦略に基づくものだった。

 バチカンが本気になって中国人カトリック教徒の二重忠誠を利用するならば、ポラード事件とは比較にならない規模のインテリジェンス活動を中国政府の中枢で行うこともできる。今回、ローマ法王ベネディクト十六世の「天主教愛国会」関係者の破門は、バチカンが胡錦濤政権に対して「カトリック教会をなめてかかるとソ連・東欧の二の舞になるぞ」というシグナルなのであるが、どうも中国政府はそれを正確に読み取れていないようだ。


 「信教の自由」という基本的人権を侵害する中国の態度は前回のエントリで述べたとおりなんですが、それに対するバチカンの反応への分析に今回の記事の面白さがあります。

 カトリックの宗教人口は全世界で10億人以上と言われています。全体で中国の人口と同じか少し少ないくらいですが、それが世界中にいますので、影響度は大きいです。

 同じく中国側にも世界中に「華僑」と呼ばれる中国系在外中国人が降り、そのネットワークも強固なものとなっています。ちなみに日本でも華僑の情報収集は昔はよく行われており、「汪養然事件(昭和51年1月)
」※などのスパイ事件も行われています。

 カトリックがバチカンのためにそのような情報収集活動を行っているかは不明ですが、バチカン自身にそういった情報収集をする意味が薄いため、現在のところはそのような情報収集ネットワークは構築されていないか、かなり小規模なものでしょう。(煬帝さんのコメントにもあるとおり、ネットワークは構築されていると思います。私もコメントを読ませていただいてはっと気付きました。謹んで訂正します。ただ、現在どの程度のネットワークなのかは分かりません。)

 ただ、中国のように対立する国家が現れた場合は別です。今回の件ではバチカンの存在意義を問う自体になりかねなく、そうなった場合は力の限りネットワークの構築に努めるでしょう。

 しかし、中国側も「宗教」の存在を国内に無制限に許容すれば政権の危機に向かうのは明らかです。法輪功の弾圧などを見ても、中国政府が「宗教」に対して相当な危機感を抱いているのが分かります。今回、中国政府とバチカン、お互い譲れなくなった末にはどのような結末が待っているのでしょう。

 ※ 汪養然事件(昭和51年1月)
 香港において貿易商社3社を経営し、手広く中国貿易を行っていた香港在住中国人、汪養然は、46年ころ、中国情報機関員から「香港において中国と取引する中国人業者は、祖国の建設と祖国防衛に協力する義務がある」と迫られ、中国との貿易取引を継続する見返りとして、日本における軍事、産業技術等の情報収集活動を行うよう指示され、以後、汪養然は、貿易業務を装って頻繁に来日し、内妻宅をアジトに日本人エージェント数人を利用しながら、「中ソ国境地図等のソ連関係情報」、「外国の航空機エンジン等の軍事関係情報」、「我が国の政治、経済、産業技術に関する情報」等の幅広い情報収集活動を行い、51年1月に検挙されました。 (焦点「警察庁」より)
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2006年05月14日 中国・韓国・北朝鮮 トラックバック:- コメント:6

ナチ・ドイツ崩壊に際してカトリック教会がナチ党やSS幹部の逃亡に大きな影響力を及ぼしたのは有名な話。

この国は自前の軍事力を持たない分、情報の収集・分析には表面に出ているよりも力を入れている筈です。
ペルーでの日本大使公邸占拠事件で司教が仲介役になれたのもその影響力に拠るところが大きい。
特に前教皇ヨハネス・パウルス2世の頃からはロシアなどの正教会などとの連携を強めているでしょうから、中共の考えているよりも遥かに強大なのは確かだと思います。

唯物論を基礎に据えた大国を破壊するという意思がヴァチカンに変わらず存在するなら次の標的は当然「中国共産党」の筈ですね。

2006年05月14日 煬帝 URL 編集

 天皇(万世一系)には一定の敬意を払えたのに違う意味で強大な『ヴァチカン』を敵に回すとは・・・宗教を理解できない国だな。

 まあ、こちらとしては有り難い展開になってきましたね。
 これでヴァチカンが中共を潰してくれれば、足を向けて寝られませんね。

2006年05月15日 どらっへ URL 編集

3自うち、自治と滋養までは、賛否両論だと思いますが・・・・コントロールしようとするからこんなことになると思います。

2006年05月15日 k URL 編集

中国がいつまでも今までのやり方で行けると思っているのなら、近未来、たいへんな混乱になると思う。
つい2-3日前米国は中国を圧政国家と名指ししたことは非常に大きい。

http://www.zakzak.co.jp/top/2006_05/t2006051311.html
北と同じ「圧政国家」並みと米政府、中国を激辛批判

2006年05月15日 worldwalker URL 編集

トムクルーズのM3、を上海のイメージを悪くするという理由で上映禁止、さらに国際会計事務所に圧力をかけて、発表した決算を誤りと訂正、謝罪させるETC,こんなやりたい放題いつまでも続けられるとでも思っているのか!国際社会は中国の悪事をすべて見通している。日本でもっと中国の人権ー民主化問題について世論が盛り上がることを願う。

2006年05月15日 国際社会 URL 編集

煬帝さん、
コメントで指摘されている部分、すっかり念頭から離れていました。
私はこの対決が本格化してくれることを願っています。

どらっへさん、
日本としてはむしろ「信教の自由」を認めない中国を非難し、共同歩調を取りたいところですね。

k さん、
結局国民の心までコントロール出来ると勘違いしていたところが共産主義の限界だし、中国の限界です。(中国は共産主義では無いかもしれませんが)

worldwalkerさん、
中国は圧政国家であるのは客観的な事実ですが、それを米国が認め、そして非難したところは大きいですね。

国際社会さん、
はじめまして、
コメントありがとうございます。
日本ではすでに中国の民主化へ圧力をかけなければならないと思う人が冷えていると思います。
後はそれを一般的に議論できるほど普及させる段階ですね。
それでは今後ともよろしくお願いします。

2006年05月15日 さいごう URL 編集












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