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新聞の「知る権利」と国家公務員の守秘義務はどちらが重い?

 今回の読売新聞の記事は大々的に新聞記者の「知る権利」を擁護していますが、私は逆にこのような新聞社の奢りが日本を危機に導くのではないかと不安に感じています。

 ちなみに今日はせっかくまたワシントンポストの記事を翻訳したのですが、記事をアップロードした途端にダイアルアップが切断してしまいました(涙)約1時間半の仕事が無駄です。と言うわけで、社説の翻訳は2日目にしてアップロードできなくなってしまったことを謝罪させていただきます。  まずは普通の事実関係を中心に並べた記事から、

 ・国家公務員から取材、記者に証言拒絶認めず…東京地裁(読売新聞)

 米国の健康食品会社が米国政府に損害賠償を求めた訴訟の嘱託尋問で、読売新聞記者が、同社の課税処分に関する取材源の証言を拒んだことの是非をめぐる裁判の決定が14日、東京地裁であった。

 藤下健裁判官は「記者が得た情報が、国家公務員の守秘義務に反して得られた可能性がある場合、取材源の開示を求めるのはやむを得ない」と述べ、取材源を明かすよう命じた。記者側は、東京高裁に即時抗告する。

 読売新聞の当時の国税担当記者に対する嘱託尋問は昨年11月、東京地裁で行われ、同社側が取材源を質問したのに対し、記者側は「情報源の秘匿はジャーナリズムの鉄則」として証言を拒絶。同社側がこの当否を判断するよう求めていた。

 決定は、情報源が仮に国税庁職員など政府職員の場合、課税情報を記者に伝えることが国家公務員法の秘密漏洩(ろうえい)罪に当たると指摘。「このような場合に証言拒絶を適法として認めると、犯罪行為の隠ぺいに加担することになる」とした。さらに決定は、記者が取材源を明かすことで政府職員らからの取材が難しくなったとしても、「法秩序の観点からはむしろ歓迎すべき事柄」と述べた。

 そのうえで決定は、読売新聞記者が証言拒絶した21項目の質問のうち14項目について「理由がない」とした。

 民事訴訟では、職業上の秘密に当たる事柄について証言を求められた場合、証言拒絶が許される。記者側は、「情報源の開示を強制されれば、取材に協力してくれる人がいなくなる」と主張していた。

 証言拒絶を認めない判断が確定した後も、記者が拒絶を続けると、罰金や拘留などが科される。

 問題となったのは、同社に対する日米両税務当局の所得隠しに関する課税処分について報じた1997年10月10日の読売新聞記事。同社は「米政府が情報を日本の国税当局に流したことから、誤った課税処分が報道される結果となり、信用が失墜した」として、米政府を相手取りアリゾナ連邦地裁に提訴した。

 この訴訟では読売新聞のほか、NHK、共同通信の各記者が嘱託尋問を受け、同様に取材源に関する証言を拒絶をした。このうち、NHKの記者については昨年10月、新潟地裁が証言拒絶をすべて妥当とする判断を示している。

 読売新聞東京本社広報部の話「取材源が公務員の場合、記者に証言拒絶権はないとする特異な判断で、報道を制約し、国民の知る権利を損なう。ただちに即時抗告し争う」


 それでも不満がかなりあることが見て取れます。

 そしてもう一つの記事です。

 ・「知る権利」どこへ…東京地裁決定は判例に違反(読売新聞)

 「記者は、公権力が発表する情報以外は取材・報道してはならない」――。新聞記者の取材源秘匿をめぐり、東京地裁が14日に示した決定は、事実上こう述べているに等しい。

 だが実際には、記者が守秘義務の壁を乗り越えて情報を得ることで、官民の多くの不正・腐敗が明らかにされてきた。もし、官が一方的に流す情報しか取材・報道できないとしたら、国民に保障された「知る権利」はいったいどうなってしまうのか。決定の論理に従えば、公務員だけではなく、弁護士、医師、公認会計士らへの取材も極めて難しくなる。

 記者にとって、取材源の秘匿が最高の職業倫理とされているのには理由がある。不正・腐敗に関する多くの情報は、勇気ある内部告発者から寄せられる。その告発者の名前が明らかにされるようでは、関係者は取材に応じなくなり、公権力の不正などの監視は不可能になるからだ。

 日本の裁判所も憲法上の「知る権利」を尊重し、取材源の秘匿には理解を示してきた。記者が公務員に秘密情報の提供を要請することは、真に報道目的で社会的に是認されるものである限り、「正当な業務」というのが、1978年に最高裁が示した判断だ。

 また、79年の札幌高裁決定は、今回のような民事訴訟で記者が証言拒否することを、「取材源に関する証言が公正な裁判の実現のためにほとんど必須」でない限り妥当だとし、最高裁も是認した。今回の東京地裁決定が、国民の知る権利の実現のために積み重ねられてきた判例に違反していることは明らかだ。

 東京地裁決定は、驚くべき判断を示している。「刑罰法令により開示が禁止された情報の流通について公衆が適法な権利を有していると解することはできない」。つまり、公務員が持つ秘密情報を国民が知るのは「適法ではない」というのだ。これに従うと、政治家や官僚にとって都合が悪く隠したい情報でも、国が「秘密」と決めた途端に、それを公表するのは違法となってしまう。

 さらに決定はこうも言い切っている。「新聞記者が取材源の開示を命じられると、取材源からの協力を得ることが困難になるが、それは公務員の守秘義務違反がなくなることを意味するのだから、法秩序の観点からむしろ歓迎すべきだろう」

 仮に、公権力が都合の悪い情報も包み隠さず公表するとしたら、決定の論理も成り立つ余地があるかもしれない。だが残念ながら、そんな社会は実現していない。東京地裁の現実離れした判断は、ただちに見直されるべきだ。(小松夏樹)


 こちらを見れば読売新聞がいかに今回の判決に反対しているかについて分かると思います。しかし、この読売新聞の小松夏樹記者(以下小松記者とします)の言うことが本当に正論なんでしょうか。

 小松記者の記事の理論的正当性を与えているのは「1978年に最高裁が示した判断」と言うものです。私にはその判決を見つけきれなかったので他の判決(S44.11.26 最高裁大法廷判決)を中心に判断します。私が参照した判決もそうですが、これまで「知る権利」と言う問題が判決自体の争点になったことはありません。そして判例として「知る権利」が報道機関に対して無条件に認められているかは非常に微妙なところです。結局は国民の利益と合致するかと言うところに帰結するもので、判例自体が万人に認められる形で残っているとは言い難い状況です。ちなみに、S44の判決では「報道の自由とともに、報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値する」と「知る権利」を認めています。

 さて、「1978年に最高裁が示した判断」について多少の前置きが長くなりましたが、今回の場合はこの「知る権利」が適用されるのでしょうか。今回の件は今までの判決とは違うと言わざるを得ません。今回は国家公務員から「知る権利」を理由に「国家公務員の守秘義務」に関する事項を取材し、それを元に告発記事を書いた末に「情報源の秘匿」を盾に情報の開示を拒否しているのです。もしこれが許されるのなら国家の重要な秘密が「情報源の秘匿」を盾に垂れ流し状態になってしまいます。しかも取材した情報は「国家の秘密」として管理されるのではなく、1新聞社の取材メモとして法律によらないところに保存されることになってしまうのです。これでは国家の重要な決めごとは一切出来なくなってしまいます。

 そしてさらに小松記者は驚くべきことを言っています。

 「東京地裁決定は、驚くべき判断を示している。「刑罰法令により開示が禁止された情報の流通について公衆が適法な権利を有していると解することはできない」。つまり、公務員が持つ秘密情報を国民が知るのは「適法ではない」というのだ。これに従うと、政治家や官僚にとって都合が悪く隠したい情報でも、国が「秘密」と決めた途端に、それを公表するのは違法となってしまう。」

 私は小松記者に聞きたいのですが、「政治家や官僚にとって都合が悪く隠したい情報」かどうかはあなたが決めることなんでしょうか?あなたが記事にしている内容はそう言っているのですよ。もう少し解釈の幅を広げたとしても1新聞社が国家の秘密の軽重を判断するのです。

 これらから判断して、行き着く先は「取材の自由」、「知る権利」、「情報源の秘匿」の名の下にメディアによる情報管理体制を作ろうとしているのです。と言うより今までがそうだったのです。

 米国での昨年情報源を秘匿しようとした記者が収監される事件がありましたが、世界的に見て国家の秘密は「情報源の秘匿」とは分離されているのが主流です。これはスパイ防止法などともつながりを見せてくる問題なのですが、今回は読売新聞の「我が身かわいさ」の記事のみに憤りを感じた次第です。スパイ防止法についてはまたの機会にします。
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2006年03月15日 政治 トラックバック:- コメント:3

新聞に対してある種の権威を感じている人たちと、我々のように新聞の報道内容をハナから疑っている者との情報ギャップの大きさが今ほど大きい時代はないと思う。
前者にとって新聞は大本営発表であり、我々にとって新聞に書かれていることは未検証の情報である。

2006年03月15日 worldwalker URL 編集

記者クラブ制度という談合にどっかり腰をおろして「のんべんだらり」している新聞に、真の知る権利を主張できるのか?

帝国データ・時事通信のファックスベタ張りの社会、経済面、お上から頂いたとおりの地方版・三面記事で、自社で調達した記事は数えるほど…これが新聞の実態。一応朝日と産経は社説を読めば違いは判るけれど、30ページもある新聞でオリジナリティはそこだけとは情けない。

お役所と繋いだ手は離したくない。でもマスコミの知る権利は読者向けにもカッコイイから主張していきたいじゃねえ。

2006年03月17日 あきら URL 編集

外務省秘密漏洩事件 上告審判決
http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~suga/hanrei/36-3.html

2008年09月04日 つん URL 編集












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