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【イラク】混沌としてきたイラク情勢

 昨年末にフセイン元大統領が処刑されました。私はスンニ派の抵抗を危惧していたのですが、本当にそうなってきています。イラクは国内的にも国際的にもスンニ派の抵抗に遭い、ますます混乱の度合いを強めていくでしょう。

 ・ イラク元大統領の処刑
中東戦争勃発の危険を増幅(FujiSankei Business i.)


 今年の国際情勢はかなり波乱含みになりそうだ。東アジアでは北朝鮮の核問題が最重要懸案であるが、国際的には中東情勢がどう推移するかに注目が集まっている。ちなみにイランの弾道ミサイル「シャハブ3」が北朝鮮の「ノドン」のコピーであることからもわかるように北朝鮮とイランの軍事協力は相当深い。特に北朝鮮の核実験に刺激され、イランが国際社会の批判を甘く見て、核保有に踏み切るようなことになれば、イスラエルがこのような状況を看過することはまずない。第5次中東戦争が勃発(ぼっぱつ)する危険性すらあると筆者は危惧(きぐ)している。

 現時点ではイラン封じ込めが平和を維持するために急務だが、それに逆行する出来事が昨年末あった。06年12月30日のサダム・フセイン元イラク大統領に対する死刑執行である。30日はイスラム教スンニ派の暦では、巡礼月の「犠牲祭(イードルアルハー)」の初日にあたる。「犠牲祭」の間の死刑執行はまずない。

 現下イラク政権の主流派であるシーア派にとっては暦が違い「犠牲祭」は1日遅れの31日に始まるので問題がないと考えたのであろうが、スンニ派にとっては宗教感情を侮辱するものである。現在は親米国家となっているリビアですら「30日、3日間の服喪を宣言、犠牲祭の政府主催祝賀会を中止して、強い遺憾の意を表明」(12月31日読売新聞)した。

 フセイン元大統領と対立していたエジプトも「30日、犠牲祭初日の執行を『遺憾』とし、『イスラム教徒の感情を考慮に入れなかった』と批判する声明を発表した」(1月1日読売)。アメリカ、イスラエルとイランがフセイン処刑を歓迎する声明を発表、このことがスンニ派原理主義者の感情をさらに逆なでした。

 フセイン元大統領も「殉教者」となるべく最期まで見事な演出をした。赤い絞首台の横で「兵士が恐怖を和らげるフードの着用を勧めるが、フセインは落ち着いた表情で断る。前を見据え、唱える。『アッラーのほかに神はなし。ムハンマドはアッラーの使徒である』『国民に告ぐ。団結せよ。イランとその手先は信用するな』」(同)。

 インテリジェンスの観点からするならば、このような映像を一般公開することはイラク現政権の権力基盤を弱めることになるが、その辺の分析も全くできていなかったのであろう。しかも12月31日にカタールの衛星テレビ・アルジャジーラ(半島)は、処刑現場に立ち会った者が携帯電話カメラなどで私的に撮影したとみられる映像を流した。「『アッラーのほかに神はなし。ムハンマドはアッラーの使徒である』とのイスラム教の信仰告白を繰り返し、2回目の『ムハンマド』を言ったときに絞首台が落ちた」(1月1日読売)という内容だ。これでフセイン元大統領が「殉教者(シャヒード)」だという印象がスンニ派世界に定着したと思う。イラク現政権のインテリジェンスが稚拙で、基本的情報管理すらできていないことを示している。

 そもそもフセイン元大統領は、国家主義者で人為的に「イラク民族」を作り出すことで自己の権力基盤を確立した。国民国家や民族に基本的価値を見いださないイスラム原理主義者はスンニ派であれシーア派であれ弾圧の対象だった。スンニ派の系譜に連なる国際テロ組織アルカーイダもサダム・フセインの命を狙っていた。アメリカの圧倒的軍事力の前に敗北したフセイン元大統領は獄中でイスラム教の力を深く認識し、「殉教者」となることでスンニ派の反米感情、反イラン感情に火をつけようとしたのである。

 敵の望みと反対のことをするのがインテリジェンスの定石だ。フセイン元大統領は処刑され「殉教者」になることを望んでいたのだから、逆に死刑言い渡しを急がずに、元大統領が関与したとみられるクルド系住民に対する化学兵器の使用(ハラブジャ事件)、91年のクウェート侵攻の真相、イラン・イラク戦争時のフセイン政権と欧米の関係について、きちんと聞き取り調査をする必要があった。

 フセイン元大統領は開き直りと弁解に終始したろうが、それでもそのような記録を残すことには歴史的意義があるのみならず人類が過ちを繰り返さないための資料にもなる。イラクでスンニ派・シーア派間の抗争が激化すると高揚した宗教感情が反米や反イスラエルに流れる。

 フセイン元大統領の処刑で中東の緊張が一段階高まった。


 イラク情勢の鍵を握るのは、国際的には米国(とイスラエル)、イラン、スンニ派イスラム諸国です。それぞれがイラクの未来について違った理想を抱いているため、なかなか前に進むことが出来ません。

 フセイン元大統領の処刑は、米国としては延期もしくは中止すべきだったと提案し、性急な死刑執行に現政権への不信感すら抱いています。

 (参考)「米、フセイン元大統領の性急な死刑執行に不快感」(読売新聞)

 まして死刑執行の場面を隠し撮りした映像を公表されてしまったのは大きな痛手です。こんなことをさせてしまう政府の管理体制も疑問ですが、結果的に引用元記事にもあるように、フセイン元大統領の思うつぼです。

 これからイラク政府の失態のために、米国はさらなる泥沼に入っていくかもしれません。もしくはイラクを見限るのかもしれません。どちらにしろイランにとってはやりたい放題になり、中東情勢は米国にとって厳しいものになるでしょう。

 日本も自衛隊を派遣していますが、よく考えて撤退時期を見極めないと、一緒に泥沼に入ることになってしまいそうです。
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2007年01月04日 中東情勢 トラックバック:- コメント:2

イラクがどうなるのか想像もできんなあ。
ブッシュさんはちゃんとイメージできてるのかなあ。

2007年01月11日 worldwalker (・∀・) URL 編集

worldwalker (・∀・)さん、
多分イメージが現実と合っていないからこんなことになるのでしょうね。

2007年01月13日 さいごう URL 編集












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